ドイツ語・英語・日本語における「垂直」と「水平」の意味
| 日本語 | 垂直 | 水平 |
| ドイツ語 | Senkrechte | Waagerechte |
| 英 語 | perpendicularly | horizon |
ドイツ語で垂直のことをSenkrechte(ゼンクレヒテ)と言い、水平のことをWaagerechte(ヴァーゲレヒテ)と言います。
英語では何と言うのかなと辞書を引いてみたところ、
垂直:perpendicularly
水平:horizon
horizonは知っていましたが、垂直はなんともムズカシイのですね・・・。
ドイツ語のWaageとは天秤、水準器などの意味で、これは即ち重力に対して90度の方向(=水平)を測るものです。 Senkとはsenken(沈める)からの派生で、要するに重力が働く方向に動くことです。それぞれの語尾に付加されている「rechte」とは「正しい」とか「正確な」とかいう意味で、英語のrightに相当します。つまり「水平」とは重力に対して正しく90度の方向のことであり、また垂直は重力にぴったり沿う方向だということです。
英語の場合でもperpendicularlyはラテン語のperpendicularis(測鉛線のような)が語源になっており、ドイツ語同様に重力方向を「垂直」と認識したようです。一方horizonは、ギリシャ語horizon(horzein限る+on現在分詞形)が語源になっており、これはつまり空と海を区切る線(=水平線)という発想から成語されました。ここはドイツ語とは違う発想です。
日本語も英語に似た発想のようです。「水平」とは水(=海)が平たく広がる状態を形容したもので、「垂直」とは真っ直ぐ下に垂れ下がる様子を表しています。
このように日/独/英を比較してみますと、「垂直」の概念は3ヶ国語とも概ね合致していますが、「水平」は海のようにどっしりと安定した水の広がりと捉える日・英に対し、ドイツ語では重力に対してバランスを保っている状態と捉えているようです。いずれにしても「水平」では概ね安定した静的状態が表わされ、「垂直」には落下、沈下などといった動的な印象が伴います。
垂直=重力に従う方向/下降/落下・・・・動的
水平=横への広がり/バランス/安定・・・静的
アグネス・ラム
さてさて、冒頭からちょっとわざとらしくアカデミックもどきの話を始めましたが、話題はここでアグネス・ラムに移ります。
アグネス・ラムは初代クラリオンガール(1975年)であり、また大磯ロングビーチのキャンペーンガールでもあり、1970年代中期から後半にかけて一世を風靡した、今で言うところのグラビア・アイドルです。肉感的なプロポーションのくせに愛くるしい顔立ちというところが当時の日本人男性の好みにぴったり合致したというところでしょう。大胆なビキニを身につけ、健康的な、しかしそれでも南国特有の強烈な色気を発散させていました。
さて、その「大胆なビキニ」です。当時このアグネス・ラムの水着を「究極のビキニ」だとか「限界ビキニ」だとか囃したてた週刊誌などもあったようですが・・・そんな世間に逆らうが如く「ふざけるなぃ!」と机を蹴っ飛ばした剛の者もいたのでした。
当時のビキニ(ボトムに限る)といえば、臍直下に水平線(=ウェストライン)が来るような、そしてサイドの幅が5センチも10センチもあるような、今でいう「普通のデカパンツ」だったのですが、アグネス・ラムはこの常識を破りました。
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水平線を臍のはるか下まで、まさに毛が見えんとする辺りまで押し下げ、その結果サイドの幅も1センチ程度にまで縮まったようなビキニを着用したのです。つまり今で言うところの、履き込みの浅いローライズ・ビキニというところです。
そう、彼女はビキニを水平方向に圧縮したのです!
これは危なかしくて見てられませんでした。腰骨の真ん中より下の辺りで、かろうじてへばりついている布きれ。ちょっと手を掛けたら、簡単にズリっと下がりそうなパンティ。これをマスコミやら軟弱なインポ男どもやらが「ごっつぅ、えーがな!」「毛ぇ見えたか?見えヘんかったか?」なぞと騒ぎ立てたのでした。
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ビキニは垂直方向に圧縮すべし!
これは常識です。小学校の教科書にだって載っています(東京書籍「さんすう」小学校5年生・上 P23)・・・ってウソですけど。
下着の場合は、このようなローライズ・デザインのものをスキャンティーと呼んでいます。一般にこういう小さいものを「セクシー」と形容することもあるようですが、同じ小ささ、同じ面積の布ならば横に細長く広がった下着(水着)よりも、縦に細くなった方がセクシーに決まってます。これは何故か?・・・言うまでもありません、垂直は「食い込む」からです。また先にも述べたように、水平方向は安定感、安心感を与えるのに対し、垂直は動的で不安定な印象を与え、それがいっそう「食い込み感」に拍車をかけるのです。
垂直と食い込み
垂直がもたらす心理的効果はこれだけではありません。人体の垂直方向に走る中心線には急所が集中しています。これらの急所を攻撃されると生命の危険に及ぶため、人間は本能的にこの急所を外部の刺激から守ろうとします。この垂直方向への「食い込み」という現象は、まさしく人体の中心線を通るため、生命を守ろうとする人間の生存本能を刺激します。換言すれば「食い込み」という状況に対しては感覚が非常に敏感になるということです。即ち「食い込み」とは我々の生命の根源を刺激する行為にほかならない、とまで言っては大げさに過ぎるでしょうか。
垂直と水平・生物にとっての意味
更にこの水平と垂直ということを生物学的な観点から考えてみます。人間の目は左右に二つ付いています。垂直方向に二つ並んでいるのではなく、水平方向に二つ並んでいるのには理由があります。そもそも目がひとつではなく二つであるということは、対象物の奥行きを正しく視認するために必要なことです。右目と左目がそれぞれ対象物を別々に捉えることで、その微妙な角度の違いを脳が計算し合成して、3次元的に脳の中で映像を結ぶのです。目が左右にふたつ、水平方向についていることで、物の平面的な広がりをより的確に認識することができます。試しに適当な長さの棒を横に置いた場合と縦に置いた場合とでは、同じ棒でも長さが違って見えます(縦の方が短く見える)。このように、左右に並んでいる目では垂直方向が正しく認識できません。(実はこのことから、「地平線近くに位置する月の方が天中の月より大きく見える」という現象も説明できるのです)
地上の全ての生き物は地球の重力の支配を受けているため、活動範囲がどうしても平面的になります。上下に動くことよりも前後左右というように、二次元的に動くほうが圧倒的に多いため、生物進化のごく初期の段階から目は必然的に左右に位置されることになりました。
このように生物学的に見ても垂直という現象は「見慣れないもの、認識しにくいもの」として、却って我々の注意を喚起するものなのです。
以上腰を覆うビキニの圧縮について、垂直方向と水平方向で考察してみました。
